「極端」は必ず不幸に直結する


あることで、介護の現場世界を知る機会に恵まれた。


そこには、「人の終焉」へのさまざまな過程が現実としてあり、「人間の尊厳」とは何だろうと考えさせられることも多い。

昔なら、年老いた自分の親やお爺ちゃん、おばあちゃんが、同じ畳の上で家族に看取られながらあの世に旅立っていく。そんなことが、どこの家にもあった。

今は「さまざまな事情」という建前で、「お金」で介護という環境やサービスが手に入る。

自分の力では食べ物を食べられず、排泄も出来ない。本人の魂は”あちら”に逝きたがっているのに、家族の願いで栄養チューブで命をつなぎ止められている老人も多い。

一年に1~2回しか施設に顔を出さない家族も少なくない。入居者の部屋の多くは、孫や息子、娘たちの家族の集合写真が壁に飾られている。

感じるのは、みな「寂しがっている…」という現実。親を施設へ入れなければならなかった自分への無力さ。死ぬまで一緒にずっと暮らしたかった家族への思い。

しかし、かつて自分が年老いたこの老人たちに、おむつを替えてもらい、ご飯や、お風呂にいれてもらったことを、私たちは忘れてはならない。

現実としての生活がある以上、介護施設のような看護は無理だが、せめて、「人としての尊厳」への配慮は忘れないようにしたい。自分へも、相手へも。

自分の快適さを尊重し過ぎるばかりに、相手の尊厳さを勝手に奪うことがあってはならないし、その逆もある。

お金や地位が手に入ると、人間はついこのことを忘れてしまう。

「ほどほどに。そこそこに。」

こうした程良い平凡的な幸せが実は一番の幸福なのだということに終焉を迎える人の多くは悟る。

そして真の成功者ほど、このことに気が付いていることを多くの人間は知らないだろう。

何であれ、「極端」を優先している生き方の多くは、理想的(幻想的)なゴールを外し易い為、「不幸を招き易い」。それは、賭け事の大勝(まぐれ)を常に狙って生きているようなものだ。

まぐれで一度、「大勝」を経験すると、強烈な快感を覚え、忘れられなくなる。そして、人生を「驕(おご)り」「過信し」「なめる」。

…しかし、その付けで、残りの98%はドツボの世界。

人生を「体たらくに落とす人」は、このような生き方を選択している人が多い。

人が意識を成長させる過程で、老人になっても子供のような振る舞いがなくならない人間は、小さい時に、充分に欲望脳(爬虫類脳)を大人たちが満たしてあげない不幸な環境で育った影響が強いと、脳機能学の専門家達が指摘する。

つまり、両親、特に母親の充分なスキンシップ、成長過程での彼らの自己認知欲求(褒めて伸ばす)を満たす。

これらが圧倒的に不足することで、自己評価が低くなり、何十年経っても、自分を高める人生を過ごしにくくさせてしまう。

自分を高めようとする欲求は、かなり高度な脳機能なので、それ以前の、原始的な欲求部分が満たされないと、人間は次の自分を高めるステージに興味を向けたがらないらしい。

つまり、幼児期のステージが何処かに根強く残ったまま、年を取っていく。

子供の心はいつも「極端」だ。「正しいかどうか」ではなく「好きか嫌い」か。

特に、次元の低い欲望的な人生で、一生を通してしまった人間は、孤独な人生で終焉を迎えることが圧倒的に多い。

しかし、子供の時の心を育む環境に、もし自分自身が恵まれていなかった場合には、そうした自分の過去を恨み、親を恨むのはお門違いというものだ。

そうした親もまた、無知ではあるけれど、それはそれで精一杯、その時出来ることを一生懸命に取り組んでいたはず。例えロクでもない親でも、そのロクでもない稚拙な心の状態と一生懸命に戦っていたかもしれない。

自分が大人になり、親になった時、その道を、今度は自分が繰り返さないことを課題にしなければならない。学ばない限り、無意識で繰り返す。だからこそ、そうした環境下で育ったな、と自分で感じている人ほど、人よりも多く学ぶ「伸びしろ」が残っている。

「心の痛み」や「無知さ」を種に、知識と知恵という「栄養」を与えよう。そして、自分自身の未熟で、愛への飢餓感で枯れ果てた心の土壌に、「愛」というその土壌を育てる醗酵エキスを与え続けよう。

そうすることで、自分を大切にし、それまでの「痛い人生」、「冴えない人生」の体験が、似たような人生で苦しむ人達へ、大きな勇気とエールを送るエネルギーへと変換出来るようになる。

そういう意味でも、自分を高めるチャンスは、誰もがみんな平等に与えられている。人を恨むのはお門違いだ。伸びしろが大きいほど、学ぶ度合いが大きいほど、人よりも深く広い学びが出来るものだ。

このことを私たちは忘れてはいけない。

過去にいつまでも囚われること無く、勇気を持って、出来るところから第一歩を踏み出し、少しづつ心を自立させていこう。

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