いきなり「最高の答え探し」はしない
「最高の自分探し」とか「最高の答え探し」をしている人をたまに見かける。…が、成果を早く継続・安定的に出す人は、そんな時間を浪費し、墓穴を掘るような手順は絶対にしないように細心の注意を払う傾向がある。
そう…。いきなりの「最高の答え」を求めようとする行動や思考は、典型的な「負のスパイラル地獄行き」の指定席チケットを手にするのと同じだ。時間も労力も浪費する。
そんなことをしていても、満足行く答えなど見つかるはずは無いし、何処まで行っても、常に「まだ他に良い答えがあるかも知れない」と「青い鳥症候群の世界」に迷い込む。
人間は、善しに付け悪しきに付け、環境に順応してしまう。
怠惰な生活に甘んじ浸れば、どこまでも切りがなく底無し沼に堕ちて行くし、変化への「チャレンジな生活」にも、ある種の変化に伴う精神的な痛みも、不思議といつの間にか自然に消滅していく。
成果を出す人々は、それまでの自らの度重なる多くの失敗体験から、何が最も成果を生み出すかを知っている。
そして、こう思う。「なんだ…、もっと大変かと思ったが、こんな程度だったのか。だったらもっと早く取り組んでおけば良かった。」
つまり、例え今、最高の場や答えなど見つからなくても、力などまだ充分に養われていなくても、先ずは今ある要素から始め、動きながら掴むさまざまな要素やコツを「成果を出すための最低条件、必要環境」に転換し、そういう環境に自らの身をそこに置く。
そしてそれに応じて、次第に成果は勝手にやってくる。自分の力量も自然に備わって来るということ。成果を出す人はこれを体験的に分っている。最低限の小さなステップがスタート出来れば、動きながらのほうが格段に得られる事が多いということを知っている。
「最高の場」「最高の答え」なんて、どこまでいっても「無い」ということも…。技術や知恵が付けば、もっと先が観えてくるからだ。
反対に、成果をいつも出せない人、出そうとしない人は、全くこの逆をやる傾向にあるように思う。
「あれがないと出来ない」、「これがないから無理」。「まだ自分には早い」、「こんな力量では迷惑をかけてしまうから」と…。だからいつまで経っても机上の空論ばかりで「無知」のままだ。
いかにして成果を出さないことへの「正当な理由が自分にある」か、そのことを見付け出す為に必死に考える。一体、こんなことを一生懸命に考え出したところで、自分を成長させる何の為になるというのだろう。
中には、成果を出す環境がようやく整う時、本来は喜ぶはずが、「環境が整ってくることが怖い」と逃げてしまう人もいる。長年、苦労してその環境作りを整備して来たのにだ…。
これは、力量がともかくというより、その潜在的な心理状態に大きな問題が隠れている。本当にやりたいことのゴールは、多分他にある。「何か」をやらずに済む理由だ。だからいつも物事の実現から逃げることを考える。
幼少期から今までの人生体験で、周りの人間や、家族、親、兄弟、先生、友人、知人等からの言動で、「自分は成果を出せない人間」なのだという潜在的な「刷り込み」をしてしまったために、いざ、成果を挙げられる環境を目の前にすると、無意識に違和感を感じてしまう。そして、常に「成果を出せない場」に戻ろうとする。そうすることで、心のどこかで無意識に安堵する。
或いは、人からの「愛」が充分に満たされないままに、今までの人生を過ごしてしまい、心の飢餓感から、「私の存在を認め注目していて欲しい!」という気持ちが、屈折した形で無意識に出てしまっているのかも知れない。失敗し、不幸や挫折を演じることで、関心や同情を求めるようになる。
いずれにしてもこういった場合は、何度も何度も繰り返し「能力は備わり、成功してもいいんだよ」、「既に成果をいつも出している人間なのだ」という新しい刷り込みを、自分の潜在的な領域にメンタルトレーニングし、浸透させる必要がある。
実はこれらは英単語を覚えるのと同じ要領で考えてみると良い。何度も反復練習し、成果を出している具体的なリアルイメージを紙や写真、絵を書くといった世界から、脳に刷り込みを何度も入れる。人間の脳は7〜8回以上同じ事を「体感学習」しないと長期的に定着しない。
そうすると、潜在的な領域に新しい自分像イメージがインプットされる。脳は何度も刷り込みされると、長期記憶領域に新しいイメージを取り込むため、自然に自分へのイメージや価値観も変化していく。折を見て、そのジャンルの専門書籍や専門家から学んでみることもいい。
特に、こうした「成果を出そうとしない人」ほど、いきなりの「理想的な答え探し」をする傾向があるので、先ずは、紙の上で良いので、今の自分の力量、環境で、小さな成果を出せる実現場での最低必要条件は何かを考え、整理整頓して書き出してみよう。
成果を出す為に必要な「最低条件の環境」がわからなければ、スタートさえできない。
先ずは、あなたの魂レベルで喜びを感じる最低条件。どのような生きる上での環境的な状況、条件があれば、あなたの魂は先ずは納得してくれるのか。ここを明確にさせよう。
健康、生活経済力、仕事、人間関係、食、精神、家族、生活環境、生きがい、奉仕、社会参加…その他。
これらのキーワードについて、それぞれ最低条件環境を考え、それを専用のノートや紙に書き出してみる。
要は、あなたの頭の中の価値観を「見える化」させ、よりはっきり整理整頓してみるということ。そして次は、生活の中で「するべきこと」「しないこと」をはっきりさせる。
先ずは、「魂が喜ぶ環境に自らの身を置く」ことにゴールをセッティングする。このゴールを実現化させることだけに、毎日を集中させていく。ゴール実現を阻む要素は基本的に排除。ゴール実現を加速するものは取り込む。
好みにもよるが、最初はストイックに取り組むよりも、多少ゆるゆるの方が楽しく出来る。何度も起こる挫折もあらかじめ想定しておく。そしてその対処法も考えておく。やり直しは何度でもOKにしておく。ただし、ゴール実現させるまでは、どんなに時間がかかっても絶対に逃げないと決めておく。場を好転させるのは、こんなシンプルでざっくりなことからで良い。
とにかく、先ずはザックリでも良いのでやってみる。やりながら内容を微調整し、精度を上げて行く。
動きながら実践知を学んでいく。これが王道だ。「動かなければ、永遠に何も変わらない」ことだけは肝に銘じておこう。現状維持は、衰退とイコールということも知っておこう。
その環境に心の順応が始まった瞬間、それまでの「負のスパイラルの連鎖」から、あなたは自然に抜け出していることに次第に気付くはずだ。
最低限の成果を出す環境に自らの身を置き、その漂う日常の気質を楽しみ、それまでの人間とは明らかに異なる、「新たな場」に集う人々や彼等がもたらす情報が、あなたが長年求め続けて来た答えへの扉を開いていく。
先ずは、出せることのない理想の答え探しより、「最低限の成果が出せる環境」を整える。そこに最大のフォーカスをしよう。
「最高の答え探し」などは、成果を出せる人間の思考パターンを自分が会得し、人としての総合的な力量が付いてからでよい。
成果を安定的に出せる人に少しでも近付きたいと憧れているなら、ゴール実現に良いと感じる事は「天からの導き」だと考え、迅速に自分の人生枠に取り込んでみよう。
変化するのは怖い。
これは人間が誰しも持つ自然な反応だ。だからつい変化を恐れる。問題を先送りすることも日常茶飯事だ。見て見ぬふりをするのも平気だ。
でも、先送りなどしているうちは成果など出せる訳がない。「時間がない?」そうかもしれない。でも自分を変えるには、「今までと同じ事」をやっていても、何年たってもずっと今と同じだ。変化に使う時間は知恵を使って生み出すものだ。「変化を阻むこれまでの習慣」と「変化を促す取り組むべき習慣」を明確にする。そうすれば時間は充分に作れる。
変化への多少の心の痛みは覚悟する。体の中にはびこるウイルス菌を消滅させる注射と同じようなものだ。
最も重要なことは
「迅速に行動する」こと。
それでも、何も行動をしない事を選ぶとするなら、多くを求めないように生きることを覚悟すること。そんな弱いところからでも、「小さな始めの一歩」の世界は必ず存在する。人と比べないこと。あなたはあなたの世界で生きることにフォーカスすること。
ささやかで小さく生きる世界にも、
充分に楽しめる人生要素はある。