伝わりやすくする3つのコツ

それが話すことであろうと、文章で伝えることで
あろうと、「伝わりやすくする」という世界には、
それなりに深いコツや力学が存在する。

昔、良く通った喫茶店に、話がとても上手い
ママさんがいて、その明るいキャラクターに加え、
話しの技術が相乗効果を増し、お店はいつも大繁盛でした。

彼女の話はいつも楽しくもリアル感に満ちていて、
声や音、色や香り、動物や自然の環境風景等、
聞き手のこちらがまるでその場にいて、
今まさに彼女の放つ言葉のスクリーンに、
映画のごとく自分がそこにいるかのような錯覚を
覚えたことを思い出します。

そのママさんの話力にも、これからお話しする
3つの力学はいつも働いていて、きっと彼女は
その長い現場体験から人間観察を一つ一つ積み上げ、
その話力に磨きをかけていったのだと思います。

そういう訳で、今回はその「伝わり易くする言葉の力学」を
”3つのコツ”としてご紹介したいと思います。

もし宜しければ少しのお時間をお付き合いください。



さて自分の伝えたい気持を相手に伝わり易くさせる
1番目のコツは「大きい目的」を予め考えるという事です。

ざっくり分ければ、目的には大きな視野で見たものと、
小さい視野で見たものがあります。




大きな視野でみたものは、そもそも、その後の展開を
どういう方向に導いていくか、そういう伝えることを
繰り返すことで、双方の方向をどのようなゴールに
進めていく事がベストなのか。



そういう感覚というか、感性をいつも感じ考え、
人と接していると、何か突発的な問題やアクシデント
が発生した時に、瞬時にぶれない対処が自然に出来る
ようになります。

・人間関係の構築、修復なのか
・関係を断つ目的なのか
・相手の未熟さから起こる問題現象を、再発防止させる目的なのか
・自分の感情のはけ口に過ぎないことなのか
・自己満足をしたいだけなのか

こうした大きな目的をその感覚の視野に入れ、
言葉や伝える内容を考えると、自然に使うべき
その場に相応しいテーマや言葉、話の順番になります。

「その伝える目的は大きい視野で見た時に、
そもそも何の目的で伝えようとしているのか。」

これを先ず一つ目に意識しておいてください。

先の喫茶店のママさんでいえば、
このお店に来ていただくなら、日頃の嫌なことを
少しでも忘れ、「楽しくリフレッシュして頂く」
という心がけを大きな目的として意識されて
いたような感じがしました。

二つ目は「小さい視野での目的」です。

先のママさんは、日頃から話のネタを日常の体験から
いくつか仕込んでおき、相手の心の様相に応じて、
そのネタを使い分けていた感じがありました。

失恋し、落ち込んでいる娘がくれば、
自分の体験や旦那との話題を提供し、
仕事で思うように行かない経営者が来れば、
かつて、代々の真珠養殖で財を成す家柄に嫁ぎつつも、
家柄やその田舎ならではの習慣で、姑(しゅうとめ)
にこっぴどくしいたげられた苦労を伝えながら、
「そんなものはまだ苦労とは言えない」と、
はっぱをかける。

相手をどこに導くことを設定しているのか。

・感情を落ち着かせるところなのか
・安心させる雰囲気を体感させることなのか
・リラックスさせることなのか
・集中力を高めさせるところなのか
・モチベーションを掘り起こさせることなのか
・その作業やアクションが何を意味し、何を招くか
を体感的に理解させることなのか

例えば、ミスや問題をテーマに話をする場合なら、
人がミスや問題を起こすのは、多くは「無知」から
起こることが圧倒的に多いからだと思うんです。

誰も一生懸命自分がやっている事に、クレームや
しかられるような心の負荷は起こしたくない。

でも失敗が起こる。それも同じような繰り返しが
起こる場合は、そもそも、その人間が本当に理解を
本質的にしているのかということが問われる。

だからこそ、相手の持っている世界観の次元で、
言葉を翻訳しながら、具体的にゴールをイメージ
させてあげなくてはいけない。

人間は自分が頭の中でリアルにその状況がイメージ
出来ないことは、実行出来ないんです。その価値観
やそれを行う意味が分らないから。

だから、話を伝える側にも、相手にどんなイメージを
持ってもらいたいのかをイメージ出来ないと、
その内容が伝わらない。

その為の、大小の目的設定を先ずはこちらが用意を
しておき、どのように相手の頭にイメージしてもらう
かを、こちらも先にイメージしておく事が大切になる。

「小さい目的」というのは、テーマがギュッと小さく
絞り込まれ、明確になっていることがとても重要なんです。

伝える内容は、全てが「そのテーマ」に沿って進んで
いかなければ、軸がぶれて、相手の関心がこちらに向いてこない。

相手により分り易くイメージしてもらうためにも、
テーマを明確にしておくことは非常に重要で、
これが明暗を分けていくといっても言い過ぎでは
ないくらい、効果をあげる最低条件となります。

特に説得の場合は、優先すべき軸を一つに絞ること。
あれもこれもと詰め込みすぎないことがとても
大きな意味を持ちます。

という訳で、最後の3番目に入ります。

3番目は「気を利かせる」です。

人間観察をしていることで、なるほどなあ…と感じる
のは、自分本位で生きてる人は、基本的に「伝える」
という技術が下手です。

人に伝え易くする最大要素は「相手に気を利かせる」ということ。

大学の授業に良く見られるのが、理解に苦しむ
難解な言葉、専門用語のオンパレードで、話しの韻も
高揚感が無く平坦で、しかも聞き手ともコミュニ
ケーションもほとんど視野に無く話し手の「一方通行」。

芸人のようになる必要はないけれど、せめて最低限の
相手がこちらの話に興味を持つという意味での「伝える技術」は磨いておいて欲しい。

「伝える」という役割を持つのが講師や教授という
仕事の最大の目的であるはずにも関わらず、
この当りが昔から疑問に思うところでもあります。
これは本当に「気が利いていない」。

「気を利かせる」というのは、例えば…、

・言葉足らずにならないこと

・順序立てを厳守。話しの過程をすっ飛ばさない

・リアルにイメージ出来るように擬音・事象ワードを盛り込む
(汗が流れることを伝える場合なら”ジワッ”とか)

・「相手が理解出来る言葉、文脈内容」に“翻訳”する

・難解な専門用語や、訳の分からない和製英語などは意識的に使わない。



例えば新しい職場に入った人見知り的な要素がある
シャイなスタッフさんが人間関係で孤立している場合、
「挨拶をあなたから先にしろ」じゃなくて、
「なぜ挨拶をこちからすることが大事なのか」を伝える。

「①、昔、コミュニケーション不足の誤解から、
社内で人間関係でのトラブルが多発していた時期が
あって…。

②、恥ずかしいかもしれないけれど、人は何度も
言葉やコミュニケーションを交わすと、段々と
その人の良い所が伝わってくるものなんです。

③、だから、相手からのアクションを待つのではなく
こちらから先に、挨拶をしましょうということに
なって来たストーリーがあるんです。

④、こういう言い方で「お早うございます!」と
挨拶の協力をしてもらえるでしょうか。

⑤本当は、みんなもあなたの事を早く理解し、
仲良くしたいと思っているしね…。実はシャイ
な人も多いから…この職場。」

というような展開。

「こんなことぐらい子供じゃないんだから
分るだろうが…。」

大体、問題が起こる時、こういう言葉が出てきやすい。

問題が起こるときは、そのほとんどはつまらない
原因であることが多いもの。

基本的に、人間の本質は、意図的に意識させないと、どんどんと怠惰の方向に自然に向かってしまう、という性質を持っているので、特に集団で何か一つの方向で事を仕上げていこうという場合は、「こんな簡単で幼稚で基本的な事?」というワードでさえ、意識的に基本、原点、根本次元を意識させる仕組みを狙って作っておくことは重要だ。

それを大きな目的としておいた上で、日々の「伝える技術」を工夫する積み重ねは、きっと一年、三年と時間の経過とともに、「熟成の成果」としてやってて良かったな…と感じられるようになると思います。

1、「大きな目的」:互いに何処に向かうのか

2、「小さな目的」:相手をどこに導くか



3、「気を利かせる」:言葉選び、順番等

このどれか一つを意識するだけでも、
話しの内容は格段にレベルアップします。
是非何度も試してやってみてください。

繰り返すことで、次第に技術が体の一部となって
意識しなくてもいつの間にか、会話での主導権を
コントロールしやすくなっていることに気が付く
はずです。

最後にお伝えしておきますが、感情的になって
心の中にあるうっぷんを晴らすだけの言葉は、
「排泄物」と同じものだと考えておいてください。
うっぷんを晴らすときは、相手を巻き込んでは
いけない。



何故なら、そこからまた「負の連鎖、負のスパイラル」
が始まってしまうからです。

どんなに言葉を整え、理屈、正論ぶったところで、
それらの根底に、自分の「うっぷん」があるなら、
言葉は汚いですが、それは「排泄物」と同じだということ。

そんなものをぶつけられたら、相手がどう感じるのか
話すまでもないですよね。必ず心の底に遺恨が残る。
大事な話をするときは、心を整えてからです。



是非、この3つの力学ポイントを日頃から意識して、
人との関わりに活かしてみて下さいね。

以上、「伝わり易くする3つのコツ」をお伝えしました。

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